4月、新入社員が社内に新鮮な風を運ぶ季節。
毎年思うことがあります。
大きな大きな会社の末端社員として社会人デビューをした私。
退職するまでの間に出会った上司、先輩は男女問わず
「働くことの意味」広義には「生きる意味」を教えてくれた素敵な方ばかりでした。
中でも、あけださん(男性)は忘れられない素晴らしい上司でした。
東京本社の役員兼東海地域を統括する営業部長だったあけださん
通勤途中の地下鉄では分厚い本を読み、社内では眼光鋭く
気安く声をかけられる雰囲気ではありませんでしたが
部下に非常に慕われていて、若手の飲み会にもたびたび参加してくれました。
お酒大好きなあけださんは、
ほろ酔いになると面白い話がポンポン飛び出しご機嫌に。
私はいつもあけださんの真ん前の席を陣取り
親子ほどの歳の差や、社内での立場の違いも忘れて
「あけちゃん、聞いてくださいよ」と
日々の業務の悩みを打ち明けていたのでした。
あけちゃんも日本酒をちびりちびりと手酌しながら
「かとちゃん、それはよぉ・・・」と
青く熱い末端社員の小さな悩みに真剣に答えてくれました。
既存のやり方を変えたほうがうまくいくと思っているが、
偏屈で頑固な抵抗があって、なかなかうまくいかない・・・
若いがゆえの正義感に燃えていた私に
「敵は内にいる」という話をしてくれました。
同じ目標に向かっているはずのその中に、敵が存在しうること。
その敵と正面切って戦うのか
反面教師として原動力にするか
敵を懐柔させるには時間がかかるぞ、さてどうする?
お酒の席ですから、8割はアホな世間話。
残りの2割にはこんな話もありました。
やりがい、環境、報酬。
これが全部満たされれば、人は120%の力を発揮できる。
2つ満たされれば、何とか仕事を続けられる。
逆に2つ欠ければ、今すぐ辞めようと考え始める。
今の私は経営者でもなく、管理職でもありませんから、
人の報酬は決められません。
でも、自分のあとに続く仲間にこの仕事のやりがいを伝え、
働きやすい環境や良い雰囲気を作る努力はできる立場になったはずです。
自分の力不足を痛感することが多いですが
「自分は内の敵になっていないか」
春の空気に、あけちゃんの教えがふと思い出され
気持ちが新たになります。
「かとちゃん、男は顔じゃないぞ、心意気だ!
チューするときは目をつむるだろ、だから顔なんて関係ないんだ」
アホなアドバイスですが、
あけちゃんの教えに則り、人生の伴侶を決めた私は
間違っていなかったと自負しています。(主人に失礼!?笑)
新入社員の皆さんに、素敵な上司との出会いがありますように。
加藤実由紀